少しだけ他の先生たちと会議をし、急いでD組へ向かうと……窓側の席で窓の外を眺める呉羽が教室にいた。



教室には呉羽しかいなかった。



「悪い。待たせちゃったな」



俺の声に反応して、呉羽はこっちを勢いよく向いた。



まるで俺をずっと待ってましたと言わんばかりに目を輝かせて、「全然待ってないですよ」と、生意気に気を利かせる呉羽。



……こういうところが、かわいいなと思ってしまう。



呉羽は本当に勉強を教わりたかったようで、俺の話を真剣に聞いていた。



わからない問題は一通り終わり……最後に復習を含めていくつか問題を解いてもらうことにした。



部活をやってる生徒以外は帰ってしまったので、学校の中は静まりかえっている。



呉羽の握るシャーペンの音だけが教室に聞こえる。