「陽菜、戻ってきて。まだ死ぬな 」


どこだかわからない


一面真っ白で何もない世界にそんな声が聞こえる。


優しくとても真剣に奏でられた声。



誰なの ?

優しい音色の声が耳に度に心が癒やされて安心するのに………


とても大切な人だった気がするのに…

全く思い出せない。


思い出さないといけないのに。



「陽菜、俺に約束守らせて 」


約束? そういえば、この白い世界に飛ばされる前


大切な人と何かを約束した。


寂しさに染まっていた私を助けてくれた人と。


翔馬だ………。


名前を思い出すと、一気に今まで、翔馬にされてきたことを鮮明に思い出す。


4年前初めて私に用事もないのに話しかけてくれたんだ


それまでは必要以上に私に構ってきた人なんて誰もいなかったのに…


その時は翔馬は実習でたまたま病院にきていただけだから、優しい先生というイメージだけで、

時間が立つにつれて薄れていった。



でも、再会した後、

面倒くさい私の主治医になってくれて


初めて私を心配してくれて

抱きしめて、温かさを教えてくれて、


こんな私なんかを好きになってくれた。