奈都子のカウンセリングを終了した後、

長谷川はあるものを、見せてほしいと担当の刑事に言った。



それは、携帯だ。

長谷川は、奈都子の着信履歴と、メール内容を確認した。

しかし、メールだけ、全部消去されていた。

それは、綾も彼氏も同じだった。

(事件の関係者が、全員…履歴を消している)

だけど、リダイヤルが、残っていた。

鹿島裕子。



「被害者達の共通の友人です。殺された鳥井も、犯人である斉藤とも、仲が良かったようです」

刑事の言葉に、長谷川はきいた。

「その方からも、話はきいたのですか?」

「昨日…」

「それで?」


「はい。彼女は、町田透を巡る2人の関係については、知っていました。何度か、2人から電話やメールで、相談を受けていたと」


「相談…?」

長谷川は、メールが消去されていることを思い出した。


(三人とも、消している?)

彼氏である町田も。

町田の携帯に、裕子が登録されていることは、確認できた。



「メールの内容を復元できますか?センターなどで」

長谷川の質問に、

「内容までは、無理ですが…履歴は、残っていると思いますが…」

その言葉に、長谷川は頷いた。


「それだけでも、構いません」



三人からのメールの送受信の履歴を確認した長谷川は、深く頷き、刑事に言った。

「鹿島裕子を、任意同行できませんか?重要参考人として」