あたしは、しがないただの専業主婦。
夫もしがないサラリーマン。
何の取り柄もない。
ただ毎日、掃除をして、夕食の用意をしていた。
そんなあたしがなぜ…こうような場所に閉じ込められ、監禁されているのだろうか?
もう30歳を過ぎたあたしを、誘拐する意味があるのだろうか?
確かに、若いときはそれなりにもてたけど…。
あたしの前に座る眼鏡をかけた男は、何の飾りもない机に、二枚のカードを並べると、そっと差し出した。
「木野律子さんですね」
男は、あたしに話し掛けた。
鋭い視線を向ける男は、あたしを性的対象として見ているようには思えない。
だけど、その刺すような視線は、あたしの瞳の奥の何かを探っているように感じた。
何を…?
あたしは別に、縛られているわけではなかった。
ただ四角い正方形の部屋の真ん中に置かれた机に、
男と対面する形で座らされていた。
そして、あたしの真後ろには、ドアがあった。
すぐに逃げれるわ。
他人事のように思っていたが…なぜか体がだるくって、立ち上がる気が起きなかった。
薬でも、飲まされたのかしら?
そういえば、今朝だされたごはんには、味がなかった。
あたしは思わず、視線を外し、膝の上できつく握られた両手に目を落とした。
「木野さん?」
男は、下を向いているあたしの顔を覗き込んだ。
「は、はい…」
あたしは声を震わして、顔を上げた。
夫もしがないサラリーマン。
何の取り柄もない。
ただ毎日、掃除をして、夕食の用意をしていた。
そんなあたしがなぜ…こうような場所に閉じ込められ、監禁されているのだろうか?
もう30歳を過ぎたあたしを、誘拐する意味があるのだろうか?
確かに、若いときはそれなりにもてたけど…。
あたしの前に座る眼鏡をかけた男は、何の飾りもない机に、二枚のカードを並べると、そっと差し出した。
「木野律子さんですね」
男は、あたしに話し掛けた。
鋭い視線を向ける男は、あたしを性的対象として見ているようには思えない。
だけど、その刺すような視線は、あたしの瞳の奥の何かを探っているように感じた。
何を…?
あたしは別に、縛られているわけではなかった。
ただ四角い正方形の部屋の真ん中に置かれた机に、
男と対面する形で座らされていた。
そして、あたしの真後ろには、ドアがあった。
すぐに逃げれるわ。
他人事のように思っていたが…なぜか体がだるくって、立ち上がる気が起きなかった。
薬でも、飲まされたのかしら?
そういえば、今朝だされたごはんには、味がなかった。
あたしは思わず、視線を外し、膝の上できつく握られた両手に目を落とした。
「木野さん?」
男は、下を向いているあたしの顔を覗き込んだ。
「は、はい…」
あたしは声を震わして、顔を上げた。


