そろそろきみは、蹴られてくれ。






英語の授業に、まったくもって集中できない。


なんというか、気が気でない。


右手にシャープペンシルを持ちながら、左手で頬づえをついて……ばっと左手を離した。


『だいすき、紗奈ちゃん』


橘の熱を、不意に思い出してしまう。


あのあとすぐに、空き教室から橘を追い出した。バスケ部、練習があるでしょう。そう言って。


それでわたしは、だいぶ時間が経ってからそーっと帰った。


自分のもつ熱と、高まる心臓と、あふれる感情とを、鎮めようと思って。


結果として、昨日は家についてからも勉強が手につかないし、あいつのことばかり考えてしまうしで、どうにもなってくれなかった。