「篠山に、ラブレター渡したんじゃないの?」 「渡してない!」 大声が出て、自分でも驚いた。橘が肩を跳ねさせてから、──目を見開いた。 「あれは、感謝の手紙で……」 早口を付け足して、わたしらしくもないと思った。だけど。 わたしらしさなんていう、そんな理想の自分の存在。 橘の前って時点で、もう、溶けている。 「じゃあ、おれ、すきでいてもいいの?」 限界まで砂糖を溶かした紅茶に、また紅茶を加えたみたいな声。 わたしはうなずいて、それから、言葉を考えた。