“ ご褒美って、友だちになったことでいいの ”
自分が書いた、心の中で何度も読み返した文章。思い出す。
「ふふ、紗奈ちゃん、すごい顔」
眉の間を、人差し指でぐいと押された。
「授業中……っ!」
「先に話しかけたのは?」
「うっ」
「まあおれも、勝手に手ぇ取りましたけど」
たしかに!
昨日、手を繋がれ──記憶から抹消しよう。うん。
「というか。授業中じゃなければふれてもいいんだ?」
「う、あ、よくない! よくないよくない」
授業中だろうと、休み時間だろうと、なんにしてもふれられるの、拒まないとでしょ。なんなの、わたし。なんなの、橘。



