そろそろきみは、蹴られてくれ。



橘は──あれ、橘と差が縮まっている気がする。


自分のプレーが下手すぎて謎に冷静になっていたけれど、これなら追い越せはしなくとも、僅差にできるのでは。


ゲーム内のキャラクターに拾ってもらい、ふたたびコースに車輪をつけて。


よし、走り出そう。気合い入れ直し。落ちすぎているせいで、その時間にみんなのことを観察までできてしまった。これってむしろ、すごいことなのでは。


走っている時間よりも、落ちて拾われている時間のほうが圧倒的に長い。


「っあ!」


まてまてまて、走り出そうって、僅差にしようって、心の中で宣言したばっかりじゃん。どうして落ちるの? どうして壁にぶつかるの?


橘は無言で、ものすごく静かに失敗している。


わたしほどではないけれど、橘もこのゲーム苦手だったりして……?


静かに失敗、というのも解釈の一致すぎている。