そろそろきみは、蹴られてくれ。



花乃のほうをばっと見るとにやにやしていて、篠山くんはわらいをこらえるふうにそっぽを向いて肩を揺らしていた。


いくら緊張とドキドキで頭が冷静にまわらなかったとはいえ、こんなにも単純にはめられるとは。


──わたし、橘のことだいすきだもんな。しかたない。


よろこんでくれる、なんて言われたら、まあまずやっちゃうじゃん!


即実践できることなら、やっちゃうじゃん! ね! わたしのせいじゃない。


再度こちらを見た橘と目が合って、くちびるをきゅうと閉じた。黄色い悲鳴とも奇声ともとれる謎な大声を出してしまいそうで。


が。

ん。

ば。

る。

よ。


……たぶん、そう言った。


口の動きと予想で、そうだと思った。


──……うん、がんばって。