そろそろきみは、蹴られてくれ。



「紗奈ちゃん」


視線が集まっているなか、腕を引かれて。


橘が走るがままに、わたしも足を動かしていく。


もつれそうになって、橘が気づかってくれて、風の冷たさを感じて、もうすぐ花火が打ち上げられるというアナウンスを聞いた。


着いたのは体育館裏で、ここで告白してもらったんだ、と思うとさらに熱くなってしまった。見事な自爆。


「みんなに見られてたけど、ごめんね、連れてきちゃった。これって牽制なのかなあ」


ケンセイ。牽制。


そっか。


橘、わたしを選んでくれているんだ。


再度実感して、じつはちょっぴり不安だったことを自覚した。


つかまれている手首が、じくじくと熱を帯びている。


橘の大きな、ゴツゴツした手。このてのひらが、指先が、わたしのことをつかまえていた。


それで走っていたんだから、物理的にも熱をもつ。


物理的、以外にも。熱が……溜まる。