そろそろきみは、蹴られてくれ。



「ん、なんで?」

「いや、その!」

「やだ?」

「や、やだ!」

「なんで?」


攻防が繰り広げられて、負けるのは間違いなくわたしだと確信しながら戦っている。


圧倒的な余裕の無さ! これは勝てる気がしないですね、実況の方がいたら打開策をぜひに聞きたかった。


「う、もう、い、言うからね!」

「うん、はやく呼んで」

「あっ、よ、呼ばないんだけど」

「え?」


そうだよねそうだよねそうだよね! 話の流れ的に、呼ぶと思うよね! ちがうの、えっと、理由をば……。


ええい、もう、開き直って言ってしまえ!


「っき、キス! するんでしょ!? 恥ずかしいから呼べないよ、……い、言わせないで!!」


あっ、まって? 予想していたよりも大声が出てしまったし、談笑中だったほかのカップル様がた及び、橘を見つめていた方々がしんとなった、やっばいこれはやらかした、はいもう無理! グラウンドだし! ひと多いし! 後夜祭のど真ん中で何言ってんだ!? 訂正したい……手遅れ……。