そろそろきみは、蹴られてくれ。



「紗奈ちゃんに名前で呼んでほしい」


っ、可愛いお願いだ、スカートの中を覗くとはだいぶかけ離れていた。あっ、いまがチャンスなのでは?


名前を呼ぶ、チャンス!


……ん?




『してもい?』


『ダメってちゃんと言わないと、……しちゃうよ』


『紗奈ちゃん、名前、呼んで?』




記憶がぶわっとよみがえってきて、あわててくちびるにてのひらを押しつける。


しないぞ、っていうのと、うっかり言っちゃわないように、っていうのと。


「っ、やだよ」

「なんで?」

「だって……っ」


言えない言えない言えない!


キスするんでしょ、とは言えないし、あの日のことを思い出しちゃったから、とも言えないし、そもそもキスって言えない! 恥ずかしいもん、言わせたがってるんでしょ!