そろそろきみは、蹴られてくれ。



「そっか、結婚……」


ちいさくつぶやいた橘は、くちをてのひらで覆って、目を細めた。


わらってる、わらってるけどその表情……なんか危険じゃない? 不穏じゃない?


なんか、こう……この前のつかまえた発言に通ずるところがある!


「紗奈ちゃん、結婚だって」


ひょえ……。手を離した橘の表情、本気すぎて凍る。やばいやばいやばい、いつものにこにこふわふわはどこへ? えっえっえっかっこいい……。


「真咲くん、はんぶん正解!」


いつの間にか隣に来ていた花乃が言って、はんぶん? と首を傾げる。


「ピンクの胡蝶蘭は、ふたりにだけ贈ったってわけではないんだよ」


「……?」


はてなだらけ、というふうな篠山くんを見て、ピンときて。橘のほうを見ると、彼はすでに篠山くんを見ていた。


察しのいい橘のことだし、……最初からわかっていたのでは。