そろそろきみは、蹴られてくれ。



2個。


「……あっ、でも、いややっぱり1個が妥当かな、1個にしよ!」

「ううん、2個にしよう」


たしかに、1個ずつ試すのがいい感じだとは思う。だけどそれは、一般的に、なだけであって、いろんなことをしてみてもいいと思う。


それに。


「せっかくの文化祭だもん。こういうのもいいよね」


普段のわたしたちだったらこう動く、を捨てても、このほうが効率がいいかも、を遮断しても。


「……ありがと」


篠山くんは小さくくちもとでわらって、はっきりと前を見据えた。


最初、自分に自信がないのかなと思っていた。いまでも、節々から頭によぎることはある。


ただ、最近の篠山くんは、自信あふれる! とはまたちがうけれど、なんていうか──生き生きとしてる感じがする。


……って、上から目線かな。


「行こう」


微笑んでから歩幅を合わせて歩き出してくれた彼と、並ぶ。


「篠山くん、楽しい?」


有無を言わさぬ質問の仕方だった? とすこし反省したところで、篠山くんがくちをひらいた。


「楽しいよ」


その言い方が、気をつかわせてしまうだとか、繕わせてしまうだとか、悪い方向に考えていた予想をすべて消し去っていく。


「わたしも、楽しい!」