そろそろきみは、蹴られてくれ。



「スマイルくださいとか、どうすりゃいいんだよ……」


長い睫毛が、伏せられる。照明の光を吸収して、キラキラだ。すごい、イケメンパワーだ。なんて、あほらしいことを考えてしまう。


篠山くんって、からかわれるタイプだよなぁ。思いながら、わたしも口にすることにした。


「スマイルひとつ……なんちゃって」


話題を振ってきたから、フリなのかなぁと思って、ね。


「……ご自由にお取りください」

「はは、ごめんって。困らせちゃったね」

「茅田さんでも、冗談とか言うんだね」

「んー、まあ、言うこともあるかも」


篠山くんは何度かまばたきを繰り返したあとに、


「茅田さんは、おれなんかのスマイルいらないでしょ」


目を細めて、小さくくちびるを震えさせて。


……このひと、あんまり、自信がないんだろうな、と、見当違いだったら失礼極まりないことを思った。