わたしの迷いに気がついた橘が、口を開いた。
「ふたりが付き合ってなかったら、気ぃつかわなくていいし……。付き合ってるとしたら、言ってない理由がなんかあるんだろうし。いままで通りでいい、のかな」
ありがとう、ほんとうにありがとう。
橘、気づかいとか、頭のまわる感じとか、すごいと思う。すごい、じゃ、なんかうまく伝えられないから言えないけど──うん、すごいと思う。
尊敬と、憧れと。
「じゃあ明日、話振ってみよう」
「うん」
うなずいて、合わせ続けている目に恥ずかしくなって。
でも、逸らしたくない。
それは、急に逸らしたら失礼になるから──ってわけではなく。
恥ずかしいくせして、うれしいから。



