口をぱくぱくさせるわたしに、橘が小さくわらった。
「おれから言ってもいい?」
「お願いします……」
うう、言えなかった、せっかくの勇気がしぼんでいって、目線も下がっていく。
「紗奈ちゃんの時間、文化祭中の2日ともほしい。──おれに、ちょうだい」
どうして。
だって、わたしはたしかに、文化祭のことを考えていたけれど。
それは伝えてないし、橘は文化祭以外のことも考えてたじゃん。
どうしてわかるの。
そうやって、ひとつひとつでわたしをしあわせにしないで。
いますぐ抱きつきたくなっちゃうから。そんな不審者、普段のわたしじゃない行動、できないのに。……手加減してよ。



