そろそろきみは、蹴られてくれ。



「決めた! メロンソーダにする」

「わたしは何にしよう……オレンジジュースかな」

「決めるの早いね」


花乃が驚いた顔をするから、


「花乃は優柔不断だよね」


とわらった。今日のお昼も、悩みに悩んで牛乳とあんぱんだった。


花乃はいつも、お弁当を自分でつくっている。わたしもそうだけど……さすがに毎日つくるのは疲れる、ということで、たまに購買やら自動販売機やらで買うことも。


「その日に自分が食べたいものが、はっきりとわからないっていうか」

「あー、それはわかるかも。アイス食べたい気がする、でもクレープ食べたいかも、みたいな」

「紗奈ちゃんはそういうとき、どっちも食べちゃうよね」

「……うん」


花乃はほんとう、わたしのことをよくわかっている。


食い意地が張っている、わたしのことを。