ちらり。もういちど橘を見る。
淡いクリーム色の、ストンとしたパーカー。黒のぴったりとしたズボン。
黒いスニーカー。
焦げ茶のまっすぐに落ちる、薄めの、下のほうではひらひらの、上着。膝上あたりまである。長い。
……おしゃれ、意味わかんないほど理解できていないな。
こんなにも素晴らしい、国宝級のものを言葉にすることができないなんて……。
小さな黒い鞄が世界観に馴染んでいる。もう、橘っていう世界があると思う。何十万払ってでも飛んでいきたい世界。素晴らしい。船での移動でもとてもいい。
──何言ってんの?