「……ここでいい?」
ひとがほとんど来ない、最上階、最奥の廊下。
いまでは廃部になってしまった部室の、目の前だ。物置と化している。
「うん、ありがとう」
何かあった? ──花乃の言葉に、ぎゅうとこぶしを握った。
自分が、不甲斐なくて。
「わたし、わたしね、橘がすきなの」
橘がすき。はじめて言った。直接的に言ったことはなかったと思う。いつも、言われて、うなずいて。ああやっぱり、逃げていた。
「それで、それでね……っ」
何から言えばいい? 橘に告白されたよ、って、それ、言ってもいいの? 勝手には言えないよ。
「あ……えっと、」
てのひらに爪がくい込む。



