「ううん、わたしが……」 ──いま、わたし、何しようとした? 「引き止めて、ほんと、ごめん」 小さくこぼした橘の声が、やけに残って。洟を啜る。 首を振るだけで、それ以上は、何も言えなかった。 「紗奈ちゃん、いってらっしゃい!」 わたしにハチマキを握らせて、背中に手を添えた花乃が。 青空の中に、もういちど、送り出してくれた。