そろそろきみは、蹴られてくれ。



ぶんぶんと大きく手を振られて、振り返す。


なんだ。そうやって大きく手を振ることも、できるんじゃん。


手の振り方に違いがたくさんあって、わたしと橘は、やっぱりぜんぜん違うんだなって思ったのに。


もしかしたら、わたしたちは、意外と似ているのかもしれないな、なんて。


うぬぼれか。


教室を出ていく橘の後ろ姿を見送って、帰り支度を再開する。