「茅田さん、佐久間さん」
橘の声に、弾かれたように振り向いてしまった。
うぅ、うれしかったからって、ぜったい、わかりやすいよなぁ。
『まわりのひとが噂して、紗奈ちゃんが何かいやな思いをしたり。本心じゃないけれど、流されて付き合うことになったり。そういうのは、おれも紗奈ちゃんもいやでしょ』
どうして茅田さん呼びするの、聞いたときの言葉。
橘がわたしのことを想って言ってくれたこと、ちゃんと、知ってる。知ってるよ、でも。
「……ほんとは、名前で呼んでほしい」
つぶやく。
だれの前でも、ずっと、なんて。
図々しい、かな。



