そろそろきみは、蹴られてくれ。



小さく手をあげた彼が、くちびるの端をもちあげて。


それ以上の言葉が、出てこなくなった。


心臓がぎゅうともっていかれてしまって、息をのむ。


篠山くんもそうしたのがわかった。


その目つきは真剣そのもので、射貫くような鋭さと、輝くような鋭さ、どちらもをもちあわせていた。


やがて彼も、スタート前の姿勢をとる。




──始まった。


倒れていた上体があがり、彼の髪がふわりとなびく。


1位だ。