「……あー、緊張する」
篠山くんが息を吐き出した。なんだか、重たそう。
「真咲、もうすぐ出番?」
「そうなんだよ──まじで怖い」
もうすぐ出番……ってことは、
「100メートル?」
「そ。こういうところで走るの、ちょっと緊張しちゃうんだ」
目を細めて、静かにわらう。にがそうだ。
あ。リレー決めで返事が遅れたのは、そういうことだったのか。
──自信がない、緊張する。
「篠山くんが楽しんでこられるように、ここから、祈ってる」
お節介かな、迷惑かな。思いながらも、声に出した。
言わなきゃ、伝わらないもん。



