そろそろきみは、蹴られてくれ。



「だって……髪、結んでくれたとき。わたしがもともと結んでた位置よりも高かったから……好み、なのかなって」

「あー……それは、ただ単に慣れてなかっただけっていうか」


慣れてなかった? 何に?


「女子の髪結ぶのとか、はじめてだったし……がんばろうって思ったら、たまたま、高い位置になっただけで」

「そ、そうだったの?」


からまわったし、どうするか考えていたこの練習期間を思い出すしで、脱力する。


羞恥はあれど、本人に聞けばよかったかもしれないな、とまで思ってしまった。


「だけど、おれ、めっちゃうれしい。紗奈ちゃん可愛いし……うん。今日、おれ、いつもよりがんばれそう」


ぽん。頭のてっぺんから額にかけて、てのひらがのせられる。


まぶしい笑顔の橘と目が合って、うなずいた。


わたしも、いつもよりがんばれそうだよ、橘。