そろそろきみは、蹴られてくれ。



「可愛すぎて困るんだけど……なんなの」


橘の語彙力が著しく低下している。成績優秀者のこんなところ、稀に見るものなのでは?


「可愛い可愛い可愛いほんと可愛い」

「──うん、まあ、よかったね?」


可愛いにはうなずけないけれど、可愛いと思えるのならよかったねっていうか。


「よくないよ。可愛すぎてキレそう」

「えぇ、理不尽……」


てのひらを横にして、額から目元を覆ってしまった橘。


……橘に限って、そんなことはないだろうけど──可愛すぎるから見られないってていにしてくれているだけで、見るに堪えないくらいポニーテールが似合っていなかったらどうしよう……。