「あ、おれ、ハチマキに名前書いてあるから」 ふたたび声が聞こえて、そちらに目を向けると。 ずい。 彼がわたしに、顔を寄せていた。 「……ばれないように、気をつけて」 ね? 言いながら人差し指を口元に。 「──気、をつける……」 変な声が出そうになって、いちど、深呼吸をした。 それこそ変だ。もう過ぎたことだから仕方がないけれど、でも、だって。