そろそろきみは、蹴られてくれ。



「は?」


そっぽを向いていた彼が、大きめな声を出して、こちらを見る。


「紗奈ちゃんのせいなんかじゃない。おれのせい。おれいま、すっげーいやなやつだから。……見ないでほしいってだけだよ」

「いやなやつ?」

「そう」


うなずいた彼が、眉を下げる。


あ。この顔、ダメだ。


泣きそうで、隠そうとしていて、こらえきれなくて、わらおうとしている。


「やるって言い出したのはおれなのに、みんなから期待を向けられるたびに、なんていうか……しっくり来なくて」


泣かないで。隠さないで。こらえないで。わらおうとしないで。


どれもちがう。どれもこれも、わたしが言ったら、ぜんぶ、


「どうしよう。おれ、おれとしての必要性じゃなくて、結果だけがみんなのために思えてくる……っ」


凶器だ。