そろそろきみは、蹴られてくれ。



「いや、まあ、ちょっと」

「紗奈ちゃんさ、誤魔化すの下手だよね」

「……下手かな」

「うん」


下手、なのかぁ。


「あったんだね」

「あったはあったけど……」


あの態度だし、本気って言われてもなかなか信じられないっていうか。


告白をして、相手から信じられないなんて言われたら、わたしだったら卒倒すると思うんだけど──思ったうえで、信じられない。


ふたりのとき以外には苗字呼びをしてくれるし、まわりにはやされることもない。そこはありがたい。ありがたいけども。


『あはは、茅田さん、太りそう!』


思い出して、ぶつり、何かが切れる音。


ムカつく! 太ってやる、あいつが目を剥くくらい、一気に太ってやる!


……うう、ドーナツ、美味しい。


花乃が苦笑いを浮かべていた。