そろそろきみは、蹴られてくれ。



右手で頬づえをついていた橘が、てのひらにさらに顔を乗せ、首を傾ける。


「よかったじゃん」


眉の高さは変わらず。目尻にかけて細めるように。白い八重歯を見せながらくちびるを横に引いて。


橘の、そんな、いたずらっ子みたいな顔。


……はじめて、見た。


もしかして。もともと橘は、わたしに1000メートル走を課せようだなんて、思っていなかったんじゃ。