川村が いなくなったことも

俺は ひどく寂しかった。


お調子者で 陽気な川村を

俺は 軽くみていたけど。


思っていた以上に 助けられていたことに

いなくなって 初めて 気付いた。


川村が 早苗に告白した時に

上手くいかないことを 願った俺は

川村も早苗も 両方を失った。


川村は いつだって正直だったのに。

心と言葉が 裏腹な俺は 

結局 1人取り残された。


今さら 川村を 懐かしく思うことも

俺には 自己嫌悪でしか なくて…



街を歩いていて 早苗に似た後姿に

ハッとして 追いかけてしまったり。


自分からは 連絡することも できないくせに

たった一度 川村が 酔い潰れた日の

早苗のラインを 何度も開いて 読み返して。


本当に もう 会うことは できないのか…


諦めることも 追いかけることも

俺は できずにいた。