最強お菓子職人は狙われます

第十五章  好きと言う感情は

あれから風邪は治り元気にはなったが複雑な感情だ
なぜなら
告白というものをされたからだ
俺,正直戸惑っている
好きと言う感情が分からないからだ
今までに告白らしきものはされては来たが今までは流していた
なのに
今初めて告白というものをされたと思う
「カシュラになんて言おうか」
複雑なまま考えていた
ちらりとカシュラを見ると変なチョコ菓子が出来ている
俺は溜息を吐きながら
「カシュラ,しっかりしろ」

カシュラの肩を叩きつつチョコ菓子に触れる
大切に触れた
カシュラは真っ赤にしながらも笑う
キュウ………
胸が少し締め付けられた
何故?
俺は自分の胸に手を当て首を傾げたがすぐ菓子作りに取り掛かる
「ありがとな」
カシュラが俺に一礼して戻っていく
俺はその姿をずっと見ていた
カーラに相談してみるか
「それ恋だよ!」
きゃーと女子並みに騒ぐカーラ
恋?
何故?
「じゃあカシュラの事を考えてみて!」
カシュラを思い浮かべてみる
カシュラが笑った顔が浮かぶ
キュウ………
「胸が締め付けられて苦しい」
「それが恋なんだよ!おめでとう!」
恋とは
苦しいものなんだな
初めて知ったよ
「返事はどうするか」
「んー,その気持ちが分かるまでかな」
「気持ち………」
先生から無理しないでと言われたので休んでいる間ずっと考えていた
カシュラはしっかりしている上優しい
だが
俺に似合うだろうか
いや
俺が似合うだろうか
カシュラは顔が整っている
性格よし
顔よし
全てよし
そんな彼に私は似合うだろうか
俺はそっと顔を包み込む
ドキンドキンと胸が高鳴る
カシュラを思うと胸が痛くなってしまう
恋とは難しい
カシュラに恋していると自覚すると顔がこれでもかというくらい赤くなる
「返事するか………」
こうなったのは約三日後のことだった
俺がカシュラの元へ行き
「今日空いているか?」
と聞くと
カシュラは頷き微笑んだ
俺は赤くなる顔を抑え
「じゃあよろしくな」
とだけ伝えた
そして今日
思いを伝える

いくら待っていても来ないカシュラ
俺はカシュラの元へ行くと
「!?」
女子がカシュラと抱きしめあっていた
俺は持っていた菓子を落とす
カシュラがこちらを見る
「あ,神風!」
ボロボロと涙が流れた
そうか
俺は遊ばれていたのか
俺はその場から走り出した
情けなかった
待たなければ良かった
俺は屋上へ行きうずくまる
恋なんかするんじゃなかった
涙が止まらない
このまま消えたいが菓子を作ることに没頭しよう
そう思い立ち上がる
その瞬間
扉が開く
「神風!!!!」
「ッ………」
カシュラが走ってここに来たのだ
俺はその隣を通り過ぎようとする

腕を掴まれる
「離せ!」
俺は振り払い走り出す
後ろからカシュラが追いかけて来るがすぐ俺は息ができなくなり止まる
「神風!!!!待ってくれ」
「待ってくれ?何をだ」
俺は震える身体を握りしめる
「ッ」
「待たなければ良かった!お前なんかに恋なんか………」
くるりと振り返る
涙を流しながら睨む
「あれは違う!信じてくれ!」
「………」
「あれはレイトだ!」
は?
レイト?
俺はキョトンとする
レイト?
「レイト,俺に言ったんだよ」
あの時
「俺が女装して,あいつに分からせる」
それで抱きしめられた時お前が来た
「レイトは自分が引くって言ってくれたんだ」
レイト………
俺はそっとカシュラに頬を撫でられる
「泣かせてごめん」
「別に」
俺は素直じゃない
カシュラは俺の作った菓子を持ちそれを食べた
菓子はキャンディーとマカロン
意味は
貴方のことが好きです
特別な人

「好きだ神風,良かったら俺と付き合ってください」
「………バーカ」
俺はカシュラの背中に手を回し抱き締める
「俺もだ」
俺の初恋は
どうやら実ったようだ