怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~

 言いながら、要は新聞を田中の方へ放ったが、田中は一切それに視線を向けない。拾ったのはジャブダルだった。

 新聞を笹崎と上河内に広げて見せたが、上河内は青白い顔で俯いているだけで、新聞を見ようとしない。だが、ジャブダルも笹崎も上河内の異変に気づかずに新聞を食い入るように黙読していた。

 新聞には、行方不明になった少女、前園花華の写真が小さく載っている。肩くらいある髪は細くて柔らかそうで、丸い顔に奥二重の目は愛嬌があって可愛らしい。服装はパーカーにズボンと動き易そうな格好だ。

「前園花華ちゃん。七歳、小学二年生。この子はもう、亡くなっています」

 どこか責める目つきで、由希は田中を見据えた。

「えっ、でもそんなこと、この新聞には書いてないけど?」

 笹崎が怪訝そうに眉を顰める。要は窺うように、由希を一瞥した。その視線に気づいて、うんと由希は頷いてみせる。要は真剣に告げた。

「由希は幽霊が視れます。何度か、その女の子を視たみたい」
「そうなの……?」

 笹崎とジャブダルは驚いて由希に視線を向ける。由希は気まずそうに笑った。

「でもね、この少女に見覚えがあるのは、由希だけじゃないんですよ」
「え?」

 呟いたのはまたしても笹崎で、田中は無言のままじっと要を見続けている。由希はショルダーバックの中から、スマートフォンを取り出した。

「これ、呉野幼子っていうドジっ子のなんですけどね」

 説明しながら、要は由希からスマートフォンを受け取る。

「臆病なくせに大胆なことをやってのけることがありまして。まあ、頭の切れる中々優秀な先輩なんですよ。あかねが送ったファイルの中から、先程の資料同様、実に使えそうなものをピックアップしてくれてます。で、ですね、これなんですが……」

 スマートフォンのダウンロードファイルの中から、要はある動画を再生させた。それは、パーカーにズボン姿の少女が、肩口まである髪を振り乱しながら、何かから逃げている映像だった。

 それを、田中に向って見せる。
 田中は一瞬、息を詰まらせた。