怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~

「あのとき、田中さんが一番遅かったわよね」

 疑いの目で笹崎は田中を見る。田中は黙ったままだ。

「DNA鑑定されたら、あなたがお面を被ったことは一目瞭然、解ってしまいますよね? あなたって本当に、爪が甘い。でも、パソコンを処分しようとした、その判断だけは間違っていませんでしたよ」

 要は黙ったままの田中を見据えながら、由希に向って手を出した。由希はショルダーバックから紙の束を取り出し、要に渡した。要はそれを、意図的に田中に向って投げるようにばら撒いた。

 ひらひらと紙が舞い、一枚が田中の足元に落ちる。田中は何気なくそれを見て、次の瞬間自分の目を疑った。

「大島さんと、あなたのラインのやり取りです。読み上げましょうか?」

 侮蔑するように言って、要は紙を拾い上げながら読んで行く。

時刻18:05【砂奈、なんであんな動画を上げた?】
19:13【なんの話?】
19:14【とぼけるなよ。花華ちゃんが逃げ回ってる動画だよ】
19:20【再生回数が欲しかったの。思ったより伸びなかったし、すぐに消したから大丈夫よ】
19:21【そういう問題じゃない。ばれたらどうするんだ】
19:35【大丈夫よ。顔なんか映ってないんだから】
19:36【服はどうなんだよ。行方不明になった日と同じ服装なんだぞ】
19:37【既製品なんだから、あれくらいの子は同じ服着てるわよ。心配しすぎ】
19:37【ふざけんな! 俺がなんのためにここにいると思ってるんだ!?】
19:38【内巴が好きでそこにいるんでしょ。とにかく、もう消したから。大丈夫よ。心配しないで】

 田中の表情が変わる。両目は見開き、身体がわなわなと震えだす。額から、脂汗が湧き出た。そんな田中に構うことなく、

「別の日~。次は時刻の読み上げなし!」

 要は歌うように言って、別の紙を読み上げる。

【砂奈。お前、再生回数減って焦ってるんじゃない?】
【は? なんなの、嫌味? ムカつく。死ね!】
【違うよ。またバズる方法あるんだけど、興味ない?】
【何それ?】
【うちのペンションで、交霊会やろう。霊能者は俺がピックアップするから、砂奈、お前アポとってよ】
【交霊会動画なんかで再生回数伸びると思ってんの? なんか起きなきゃ意味ないの】
【起こせば良いだろ。とびっきり、怖いやつ】
【やらせってやつ?】
【得意だろ】