「そう。右側にかかる。だから、大島さんの火傷は右側が特にひどいんだ」
「何をバカな。そもそも小皿の中に入っていたのが灯油だという証拠はどこにある?」
「それは警察がソファに残った沁みから調べればすぐに解りますよ。それに、灯油でなかったとしても、香油だって一応は油だ。ただ火をつけるよりも断然威力は増すでしょう。ただあたしは、百パーセント灯油とはいかないまでも、香油には灯油がいくらか混じっていたと思いますよ。でなければ、あんな燃え方はしないでしょう」
「でも、僕がもし大島さんに小皿の液体をかけたのだとしたら、カメラに映ってしまうのではないですか? 吉原さん、暗視カメラって言ってましたよね? あのとき、大島さんの正面にもカメラは設置されていました。映ってたんですか? 僕が大島さんにかけるところが」
「映ってません。ビデオカメラは全部、途中から映らなくなりました」
「じゃあ!」
「途中で映像が途切れたことは霊障によるもので、偶然だったかも知れないけど、あなたは元々映らないようにしてましたよね?」
「……は?」
「暗視カメラモードに移行する際、多少の時間がかかる。十数秒ですが、その間に大島さんに液体をかければ、カメラには何も映らない。真っ暗闇の映像が流れて行くだけ。実際、カメラに残されている映像もそうなっていました。でも、残念。音は録音されていましたよ」
「音?」
「水が撥ねる音です。すなわち、大島さんに香油皿の液体をかけた音」
田中は黙ったまま、ゆっくり俯いた。
「でも、解らないのがロウソクをどうやって消したかです。仕掛けがあるんじゃないかと探しましたが、風が吹いて来たトリックが見つかりませんでした」
だが、その理由を要は薄々勘付いている。だから、確かめるために田中を挑発した。
「まあ、どうせ。陳腐なトリックでしょう。あなたが考えるくらいだもの。ねえ、田中さん」
「……トリックじゃない」
田中は顔を上げて要を睨み付けた。その瞳は、ギラギラと尖った刃物のようで、大よそ気弱な田中のものとは思えなかった。要の勘は確信へと変わりつつある。
要は更に田中を挑発し、追いつめることにした。あるものを、炙り出すために。
「何をバカな。そもそも小皿の中に入っていたのが灯油だという証拠はどこにある?」
「それは警察がソファに残った沁みから調べればすぐに解りますよ。それに、灯油でなかったとしても、香油だって一応は油だ。ただ火をつけるよりも断然威力は増すでしょう。ただあたしは、百パーセント灯油とはいかないまでも、香油には灯油がいくらか混じっていたと思いますよ。でなければ、あんな燃え方はしないでしょう」
「でも、僕がもし大島さんに小皿の液体をかけたのだとしたら、カメラに映ってしまうのではないですか? 吉原さん、暗視カメラって言ってましたよね? あのとき、大島さんの正面にもカメラは設置されていました。映ってたんですか? 僕が大島さんにかけるところが」
「映ってません。ビデオカメラは全部、途中から映らなくなりました」
「じゃあ!」
「途中で映像が途切れたことは霊障によるもので、偶然だったかも知れないけど、あなたは元々映らないようにしてましたよね?」
「……は?」
「暗視カメラモードに移行する際、多少の時間がかかる。十数秒ですが、その間に大島さんに液体をかければ、カメラには何も映らない。真っ暗闇の映像が流れて行くだけ。実際、カメラに残されている映像もそうなっていました。でも、残念。音は録音されていましたよ」
「音?」
「水が撥ねる音です。すなわち、大島さんに香油皿の液体をかけた音」
田中は黙ったまま、ゆっくり俯いた。
「でも、解らないのがロウソクをどうやって消したかです。仕掛けがあるんじゃないかと探しましたが、風が吹いて来たトリックが見つかりませんでした」
だが、その理由を要は薄々勘付いている。だから、確かめるために田中を挑発した。
「まあ、どうせ。陳腐なトリックでしょう。あなたが考えるくらいだもの。ねえ、田中さん」
「……トリックじゃない」
田中は顔を上げて要を睨み付けた。その瞳は、ギラギラと尖った刃物のようで、大よそ気弱な田中のものとは思えなかった。要の勘は確信へと変わりつつある。
要は更に田中を挑発し、追いつめることにした。あるものを、炙り出すために。



