要はソファに近づくと、液体の沁みを確認した。沁みはコの字型ソファのちょうど折り返し地点の溝についている。
「それは、ここ?」
「そうだけど、それが何?」
「皆さん、思い出してください。この位置には誰が立っていました?」
問われて、田中以外の全員があの夜のことを思い返した。
「確か、笹崎さんか、田中さんじゃないかしら?」
「大島さんも近かったですよね」
「猪口さんも、まあ近いんじゃない?」
「いや、その位置なら田中さんか笹崎君だよ」
そう! と、要は声を上げた。
「ビデオで確認して頂ければ分かりますが、小皿が落ちていた位置に一番近いのは、田中さんと笹崎さんなんです。皆さん、あの夜誰が誰の手を握っていたか覚えていますか?」
「わたしの右手を握ってたのは要ちゃんで、左手は猪口さんだよ」
由希が答えたのを皮切りに、笹崎、ジャブダル、上河内と続いた。
「私の右側は田中さん。左側はジャブダル先生だったわ」
「笹崎君が言うように、私の右手は笹崎君、左が上河内君だった」
「ええ。私の右はジャブダル先生。左は澤田秋葉さんだった」
「で、秋葉の左はあかね、あかねの左はあたし、吉原要だった。で、あたしの左は由希。じゃあ、大島さんの両隣は誰?」
「右側が猪口さん、左側が田中さんよ」
笹崎が冷静に答えた。
「そう。田中さんが大島さんの左隣だった」
「それがなんだよ!」
黙って聞いていた田中が大声を上げる。要はもう一度毛布を剥がした。大島の死体を一瞥して、
「右だよ! 右! 大島さんの火傷は右側がひどいんだ。それが何を意味するのか、まだ解らない? 田中さん、あなたなら解ってるでしょう?」
挑発するように言って、要は大島に毛布をかぶせる。
「あかねが交霊会開始直前、こんなことを言った。なんか、臭くない? って。灯油みたいな臭いがするって。そう、あの日、香油の一皿にだけ灯油が混じってた皿があったんだよ。それは、あなたの目の前に置かれていた小皿だった。そうですよね、田中さん?」
「何を言ってるのか解らないな」
田中はバカにしたように笑った。
「液体をさ、右手を繋いだまま、左手で右側にいる相手にかけたら、相手のどこに掛かると思う?」
「……右側だ」
ハッとしたようにジャブダルが呟いた。
「それは、ここ?」
「そうだけど、それが何?」
「皆さん、思い出してください。この位置には誰が立っていました?」
問われて、田中以外の全員があの夜のことを思い返した。
「確か、笹崎さんか、田中さんじゃないかしら?」
「大島さんも近かったですよね」
「猪口さんも、まあ近いんじゃない?」
「いや、その位置なら田中さんか笹崎君だよ」
そう! と、要は声を上げた。
「ビデオで確認して頂ければ分かりますが、小皿が落ちていた位置に一番近いのは、田中さんと笹崎さんなんです。皆さん、あの夜誰が誰の手を握っていたか覚えていますか?」
「わたしの右手を握ってたのは要ちゃんで、左手は猪口さんだよ」
由希が答えたのを皮切りに、笹崎、ジャブダル、上河内と続いた。
「私の右側は田中さん。左側はジャブダル先生だったわ」
「笹崎君が言うように、私の右手は笹崎君、左が上河内君だった」
「ええ。私の右はジャブダル先生。左は澤田秋葉さんだった」
「で、秋葉の左はあかね、あかねの左はあたし、吉原要だった。で、あたしの左は由希。じゃあ、大島さんの両隣は誰?」
「右側が猪口さん、左側が田中さんよ」
笹崎が冷静に答えた。
「そう。田中さんが大島さんの左隣だった」
「それがなんだよ!」
黙って聞いていた田中が大声を上げる。要はもう一度毛布を剥がした。大島の死体を一瞥して、
「右だよ! 右! 大島さんの火傷は右側がひどいんだ。それが何を意味するのか、まだ解らない? 田中さん、あなたなら解ってるでしょう?」
挑発するように言って、要は大島に毛布をかぶせる。
「あかねが交霊会開始直前、こんなことを言った。なんか、臭くない? って。灯油みたいな臭いがするって。そう、あの日、香油の一皿にだけ灯油が混じってた皿があったんだよ。それは、あなたの目の前に置かれていた小皿だった。そうですよね、田中さん?」
「何を言ってるのか解らないな」
田中はバカにしたように笑った。
「液体をさ、右手を繋いだまま、左手で右側にいる相手にかけたら、相手のどこに掛かると思う?」
「……右側だ」
ハッとしたようにジャブダルが呟いた。



