怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~

「あたしが第一発見者だったんだけど、ずっと、後悔してた。あたしがもっと早く帰っていれば両親は助かったはずだって。寄り道なんかしなきゃ良かったんだって。でも、由希がそんなことはないって。あたしのせいじゃないって両親が言ってるって言ってくれて、すごく救われた」

 優しい表情で語っていた要が、急に鋭い視線に変わり、田中の向こうを射抜くように見る。田中の背中にぞっとした何かが駆け上がって来る。

「だから、あたし許せないんだよね。人の心につけ込んで金巻き上げるやつとか、霊の仕業とか言って犯罪犯すやつ」
「由希も、すごく苦労してるもんね。なのに、嘘をついて商売してる人は私も許せない」
「ありがとう。要ちゃん、あかねちゃん」

 突然やわらかな声音がして振り返ると、キッチンの入り口の前に由希が立っていた。後ろには秋葉もいる。

「でも救われたのはわたしも同じなんだよ。要ちゃん」
「え?」
「要ちゃん達があのとき、こんなわたしを受け入れてくれて、わたしの言っていることを信じてくれた。わたしでも誰かの役に立てるんだって知ったの。だから、色んなことで苦しんでる人を少しでも楽にしてあげたいと思った。自分の能力を知ろうって、留学を決めたんだもん。今のわたしがあるのは、要ちゃん、秋葉ちゃん、あかねちゃんのおかげだから」
「由希……」

 誰からともなく呟いた三人にそれぞれ由希は微笑みを送ると、ちゃめっ気たっぷりに小首を傾げた。

「あと、呉野先輩もね!」
「あ~……いたね。そんなのが」
「要ひどい」

 あかねが呆れてため息をつくと、秋葉が堪えきれずに噴出して、四人は何が楽しいのか一斉に爆笑しだした。青春だなぁと、田中は四人を優しい目で見ていたが、一瞬、目の奥を暗闇が覗いた。思い出したくない過去の失敗が不意に脳裏に過ぎったような、そんな瞳だった。

 *

「じゃあ、行って来ますね」
「夜道なので、気をつけて下さい。敷地を出るとすぐに二又に分かれている道があるので、左に行ってくだされば、悪路ですが、あとは一本道ですから」
「ええ。解りました」

 上河内は田中の説明を聞いて深く頷いた。話し合った結果、村まで下りるのは、上河内と笹崎、あかねと秋葉、それにジャブダル内場になった。