「おまえそんなに強かったっけ」
「かおるとレベリングしてるもん」
「ゲームかよ」
「日頃のかおるの暴言にいちいちショック受けてたら案外慣れてきたし、あの子人を慰めるときと励ますときの差がわかりにくし、そもそも励ましてくれることなんか滅多にないし、心を鍛えるのに一役買ってるのは間違いない」
「めちゃくちゃ饒舌」
眞央が笑うと振動が肩に伝わってくる。
これで大丈夫かな、と眞央の顔を覗いてびっくりした。
「泣いてるの……?」
「和華が大きくなったなあって」
「お母さんか」
「そこはお父さんだろ」
涙を隠すことも拭うこともないから、顎を伝って襟口に滲んでいく。
目元に手を伸ばして涙を指先に吸わせると眞央はくすぐったそうに体を捩った。
「ほんとうに、どうしちゃったんだよ、和華」
「そんなになめられてるとさすがにちょっと腹が立つというか……眞央の知らないところで社会の荒波に揉まれてきてるんですよ」
「なにそれ」
「教えない」
眞央がいつもの調子に戻るまで、他愛もない話をしていた。
このまま曖昧に濁してなるものかと、眞央が泣き止んだタイミングで正面に向かう。



