恋をしていたけど、きっともう恋じゃない。
「眞央のせいじゃないよ」
「わかってる」
「じゃあなんでそんな顔してるの」
眞央の頭を引き寄せたら、簡単に寄りかかってきた。
わからないと言ったけど、本当はわかってる。
ずっと見て見ぬフリを続けてきたことだから。
今更箱を開けて触れるよりも、ずっと仕舞っていた方がお互いのためになると思っていた。
「わたし、今の高校に行って後悔なんてしてないよ。中学のとき、学校に行けなかったことを悔しいと思うこともなかったよ」
そういう未来があったなら、と想像することもない。
もしも、なんて願いは画用紙に夢を描くようなもので、求めもしないものを描いたりしない。
「あの頃がもっと違えば、和華が悩むこともなかったろ」
「悩むって……進路のこと?」
「道を、狭めたのは俺だって思ってる。和華に何を言われても、否定されても、それはずっと変わらない」
「進路はどのみち悩むだろうけど、わたしが大学を選んだ方がよかった?」
眞央は首を横に振るけど、そういう意味じゃないのなら尚更、そこまで沈み込むわけがわからない。
人からはたくさん与えられて、支えられてきたのに、わたしにはそんな力がどこにもなくて。
最後尾にいて色んな人の背中を見ているような、足跡を追いかけるような、そんな日々ではあるけど、でもそれでいいって思ってる。
自分の歩みがとてもゆっくりだと知っていて、駆け足になると躓いてしまうとわかっているから、この速度でいたいだけ。



