きっともう恋じゃない。






まおちゃんに一直線に駆けるための何かが形にならなくても、自分のケジメは自分でつけるべきだ。

そう思ったから、翌日新見くんに連絡を取った。


学校外では会わないと決めたから、夏休み中も開いている学校で待ち合わせをした。

廊下で立ち話もなんだからと空いている教室に入る。


「あっち。冷房つけていいんだっけ」


自習室には人がいたからこっちに来たのだけど、勝手に空調を触っていいのかはわからない。

サーキュレーターくらいは、とスイッチを入れるよりも先に新見くんは冷房をつけてしまった。


テーブルに座った新見くんは相変わらず身軽で、青いTシャツから伸びる腕や首筋は真っ黒に焼けている。

聞けば、バイト仲間とすでに二度キャンプに出かけたらしい。


「保も来てんだよ。勉強しに。えらいよな」

「矢澤くんって勉強好き? なんか、見た目からもう、できるって感じだけど」

「そう思うじゃん? 頭はすげえいいんだけど、理解すんのに時間かかるんだよな、あいつ。でも努力家だから、自分の弱点を時間でカバーしてんの。ほぼ毎日通ってる」


意外だったと瞬きをすれば、新見くんが他人事じゃないみたいに自慢げに笑った。


「久野ちゃんは推薦もらうんだっけ」

「もらえるかわかんないけど……条件は満たしてるみたいだから、後期が始まったら先生と、あと学園長とも面談して決まるって」


今から胃が痛くて、せめて夏休みの間は頭のなかから消しておくつもりだった。

学園長と一対一で話したことはないし、そんなに堅苦しい面談じゃないからと言われていても緊張はしてしまう。