きっともう恋じゃない。



「もう、無理?」

「……ん、むり」

「そっか。嫌じゃなかった?」


すぐには答えられなかった。

息が上手く吸い込めないのもそうだけど、まおちゃんが平然としているのが悔しくて。

嘘をついてやろうかって迷って、やめた。

素直にコクリと頷くと、まおちゃんは柔らかく髪を撫でてくれる。


「五日もあれば慣れるよな」

「は……へ?」

「和華専用の夏期講習、なんっつって」

「きもい……」

「ほお?」


がしっと顔を固定されて、次になにをされるのかは簡単に想像できた。

ブンブンと首を振って抵抗すると、まおちゃんはあっさりと離れていく。


だから、近付かれるとびっくりするくせに離れていくと寂しいのが、何だかまおちゃんの策略にまんまとはまってしまっている気がして嫌なんだって。

自分の感情さえ、まおちゃんの気分ひとつで動いてしまう。


「和華、どこか行きたいところある?」

「行きたいところって、なんで?」

「デート、しよう。祭りには早いし、あんまり遠出はできないけど」


デート、とまおちゃんの口から出てきたことに驚いて、頬が緩んでいく。

にへらと笑うと、アホ面と笑うまおちゃんに言い返す気もなくなってしまう。