きっともう恋じゃない。



「和華なら急いで勉強しなくてもどこでも行けるもんな」

「いやみ?」

「いやいや、だってこれ、評価出てるし。オール5。さすがだな」


この間お父さんが迎えに来てくれたときに受け取った成績表とは別に郵送で送られてきた前期の単位認定表。

机の上に置きっぱなしにしていたら、まおちゃんが勝手に開いていた。

わたしの高校は取得単位だけでなく、試験の成績で五段階評価がつけられる。

オール5を褒められても、別に嬉しくない。


「どこに決めた?」

「専門学校」

「やっぱり、そっちか」


わかっていたような口振り。

薫がどこまで話したのか知らないけど、まおちゃんがどんな顔をしているのか気になってブランケットから顔を覗かせる。

ベッドの縁に腰掛けるまおちゃんとばっちり目が合った。


「まおちゃ……」

「は?」

「え?」


ギッと視線が鋭くなって射竦められる。

ブランケットの端を握りしめてそっと顔を引っ込めようとすると、容赦なく剥ぎ取られた。


「ちがうだろ」

「なにが……」

「名前。ちゃん付けするなって」


あっと気付いたときには遅く、不機嫌そうにむくれるまおちゃんがベッドの伸し上がる。

ギシギシと軋む音に、骨組みを心配している隙をつかれた。

逃げ場なんてなくて、壁に背中をつけると同時にまおちゃんの手が顔の横にぶつかる。