きっともう恋じゃない。







夏休みに入ってすぐにまおちゃんが帰ってきた。

お盆はお互いにおばあちゃん達の家に行くと昔から決まっていて、戻り次第寮にとんぼ返りだそうで。

夏期講習を受けるというのだから我儘で引き止めるわけにもいかない。

後半にもう一度家には帰るからと宥められても、実質ゆっくり一緒にいられるのは、今日を含めてお盆までの五日間。


デートの計画も何も立てないまま、連絡も寄越さずに帰ってきてあっけらかんとしているまおちゃんに腹を立てて部屋に引きこもったのが三十分前のこと。


「和華、暑くない?」

「……ない。寒い」

「嘘つけよ」


暑いに決まってる。

玄関を開けたのはお母さんでわたしはリビングで悠々と過ごしていたのだ。

それをまおちゃんに見つかって、けろっとした態度に怒って部屋に戻ったところですぐに追いつかれた。


お母さんはすぐに出かけて行ったから、家のなかにはまおちゃんとふたりきり。


わたしが引きこもっているのは、部屋のなかのさらに布団のなか。

薄いブランケットにくるまっていてもまおちゃんのシルエットが透けて見える。


「進路決めたんだって?」

「誰にきいたの」

「薫」


絶対にそうだと思った。

特別口が軽いとか滑らせたとかではなくて、きっと確信犯だ。

わたしが自分からはまおちゃんに言い出さないとわかっていたのだろうから。