「あの時はさんきゅ。持ってきてくれて助かった」
下を向く花莉にそう言えば、彼女は顔を上げて少し安心した表情へと変わる。
…気にしてたのかも。
「そういえば、花莉の歌声可愛かった」
俺はまた花莉の隣に腰を下ろして、話を変える。
これ以上下着のことに関しては花莉に気にしてほしくなかったから。
花莉は俺の顔を見て、口をぱくぱくさせる。
赤い顔で。
もしかしなくても、こっちのほうが恥ずかしかったのかもしれない。
でも、花莉の歌声をきいたのはあれが初めてってわけじゃねぇ。
可愛いから恥ずかしがることなんてねぇのに。



