「着いたぞ」
どのくらい経ったのだろう。気付けば、3月15日に戻っていた…のかな。
「ノン。私本当に戻れるの?」
私が聞くと、ノンは突然ちっちゃな妖精の姿から人間へと変わった。
高身長の男の子へと変わったノンは、私の目の前に来て私の肩に手を乗せた。
「大丈夫だ、ハル。ちゃんと3月15日に戻っているよ。ハルが逢いたい人に逢って来て、伝えたいことを伝えてこい。」
「……うん。分かった。行ってくるよ、ノン。」
「過去に来たから、お前が降りるのは1両目だ。列車を降りた瞬間、意識が飛ぶと思う。だけど安心しろ、催眠術みたいなもんだ。目覚めた時には安全な所にいる。」
「わかった。」
「ははっ。タイムトレインの説明をしてる時から思っていたけど、ハルは飲み込みが早いよな。話を聞いてテンパったりする人が多いけどハルは少し説明しただけで理解してくれるの、助かる。」
「そう?助かったなら良かったよ。じゃあ、私は行くね」
「あぁ。行ってこい。」
ノンの視線を背中に感じながら、私は外の世界へと足を踏み出す。
両足を地につけた瞬間、私の目の前は真っ白になり意識が飛んだ。
あの人にまた逢える喜びと幸せを胸に抱えながら。