先に、絢斗と、紗奈が行き私と、律さんは、薄暗い待合室で呼ばれるのを待っていた。

「大丈夫?」

「はい、今はまだ大丈夫です」

「そう、
あのさ、ずっと聞きたかったんたけど、
凛ちゃんって健の妹さんだったりする?」

「えっ、あっ、そうです、兄と知り合いなんですか?」

「あー、うん、まあね...そっか...」
そう呟いてから、

「ねー、凛ちゃんって本当に絢斗君と付き合ってるの?」
と、唐突に聞かれた。

「はい、そうですけど...」

「なんか、あんまり付き合ってるようには見えないなーって思って...どこが好きなの?」.

「えーっと、一緒にいて楽なところですかね?」

「ふーん、じゃあさ、一緒に居てドキドキしたりしないの?」

「……」
私が黙ると、ズケズケと矢継ぎ早に喋り出した。

「それって、付き合って言えるのかな?ただの友だちじゃないの?
今日手も繋いでなかったしさ、キスは?もうしてるの?」

「私たち、お試しで付き合ってるんでいいんです、別に、ほっといてください」

「いやいや、健の妹さんだし、ほっとけないよー、
お試しか...それでも、酷くない?
絢斗君は、凛ちゃんのこと相当好きで、時々照れて赤くしてるっていうのに、凛ちゃんは、全然なんでしょ?」

「私には、照れてるようには、見えないですけど
...それより、まだ呼ばれないんですかね?」

「じゃあさ、この後の観覧車で、キス出来たら認めてあげるよ?」

「は?別にあなたに認められなきゃならない理由なんてないんですけど...」

「じゃあ、別に認めるとかなしでいいから、普通にキスできるの?絢斗君と」

「だから、なんで、あなたにそんなこと言わなきゃならないんですか?いいお世話です」

私がそう言うと、係の人が呼びに来た。

「次の2名様、前へお進みください」


「やっぱり絢斗君より相沢先生のこと好きなんでしょ?」

「えっ?は?ちょっと待って」

「待てないよ、早く進まないと、後ろ詰まるでしょ?」

「いや、いや、そうじゃなくて」

「凛ちゃん遅いよ?手繋ぐ?」

「いや、いいです」

「じゃあ、手首貸して」
そう言うと私の左手首を右手で掴み、引っ張って歩き出した。

「私、迷子の子どもじゃないんですけど」

「あはははは、でも、ある意味迷子でしょ?恋愛の」
そう言って笑って

「観覧車で2人がキスしてくれたら相沢先生のこと内緒にしといてあげる」


と、言ってきた。