「お代はぴったり、9999円じゃないといけないこと。それが用意されていないこと」
彼女がポケットから何かを取りだし、あたしの目の前に並べる。──お金だ。
「儀式の方法は一緒だよ。見てて」
あたしの見えない位置へと消えた彼女が、水の入ったペットボトルとハサミを持って、こちらへ帰ってきた。
そこに鞄でもあるのだろうか。
「有料彼氏、有料彼女のいいところは、現実じゃありえないだろってことでもできちゃうところ」
枝毛を探すかのように髪を指先に巻きつけた彼女が4本だけを切り、ペットボトルに沈める。
長い小指の爪だけを小さく小さく切り取り、3欠片。沈める。



