「記憶にない儀式終了後。記憶にない1万円。ね、わかるよね」
小さく、ほんの小さくうなずく。
「それね、この儀式の唯一のいいところなの。儀式終了から相手を見つけるまで、こっちにはなんの負担もないでしょう。1万円も勝手にどこかいくから、楽だよね」
彼女が笑う。立ち上がる。
「本気で呪いがしたかったなら、33番……有料彼女にすればよかったのに」
33番……見ていない。
「有料彼女はね、有料彼氏と違って、こっちに何かがかえってくることなんてないの。そこが最大のいいところ。儀式終了後も記憶がある。難点は」
彼女が深呼吸をする。
呻くことしかできない。



