有 料 彼 氏



その男の光った目と、あたしの目が合った。


バットを大きく振りかぶる。待って、それは……っ。


腕に衝撃を喰らった瑠々子が、吹き飛ばされて崩れ落ちる。


みるみるうちに赤黒く変色し、腫れ上がって。


もういちど、バットが振り上がる。


「やめ、やめて……!」


声も出せずに震える瑠々子を横目に、その男に抱きつき、動きを止めようとする。


……簡単になぎ払われ、瑠々子の肩に2撃目。


瑠々子は閉じた目で、小さく涙を流していた。気絶しているのかもしれない。


止めないと。でもいまは、1万円札を握っていない。きっと、1万円を支払わなければ、止まらない。止めることもお願いなのだろう。


男──あたしの有料彼氏から顔を背けるかたちで、鞄の中を漁ると……。